深沢のゲーム日記

好きなゲームについてひたすら書くだけの日記です

【ゲーム感想】オクトパストラベラー

久々にRPGとやらをクリアした

RPGをちゃんとクリアしたのって何年ぶりだろうか、と思って思い出そうとしたのですが、思い出せないくらい前でした。
多分一番最近クリアしたのははるか昔にやったFF12のHD版かもしれないくらい。

ちょっとこのゲーム、古いんですけど、なんというか感想を語りたくなるタイプのゲームなので、感想を語ってみようと思います。

良かったところ:「懐かしのRPGの思い出再現」に全てのパワーを費やしているところ

このゲームは、一言でいうと「懐古主義RPGの一つの完成形」だと思っています。
同じチームで作ってる「ブレイブリーデフォルト」も懐古主義RPGだと思うのですが、今作はそれをかなり踏み込んだ形で作ってるんですよね。

ドット絵をチョイスして「そういう層」を徹底的に狙い撃ち

もちろん、技術的には最新技術を使ってドット絵のキャラクターと、高解像度の背景やエフェクトの間に違和感が無いよう、凝ったことをしているんですけど、そもそもドット絵にしなければそんな凝ったことをしなくても良かったわけで、とにもかくにもドット絵が好きな層を狙い撃ちにしているのは一見してわかると思います。

この作品は20一八年の作品ではありますが、おそらくこの選択の背景には、ドット絵で作ったスマホゲームがウケていることから、一定のマーケットがあると判断されたのかもしれません。*1
事実、私も「なんか気になる」って思いながらSwitch版は買ってもやらないだろうなぁ、って思ってたところにSteam版の存在を知って購入したくらいなので。

昔の「美化された思い出」をうまく再現したシステムの取捨選択

次に面白いのはシステムの取捨選択でしょうか。
同社のファイナルファンタジーシリーズを想像するとある程度わかると思いますが、シリーズを追うごとに装備が簡略化されていって、装備以外の部分のシステムが複雑になっていってますよね。
最近のRPGは「プレイヤーが試行錯誤する」ことが重要視されていて、その辺りの装備の重要性がある意味下がっているというか、「試行錯誤の一つの手段」として扱われているわけです。

ところがオクトパストラベラーは武器、盾、頭、体、アクセサリとご丁寧に装備がちゃんと全身につけられる上に、かなり細かく強弱があるんですよね。
その上、普通に進めるとレベルが足りなくなるようになっていて、途中でレベル上げが必要だったりします。
となると、このゲームは「先に進むにはレベル上げながら金策をしてパーティー全員の装備を揃える作業を新しい街につくたびにやる必要がある」というタイプのゲームです。
最近の「勝てないから戦術(装備や編成)を変えよう」という試行錯誤が求められるゲームと違って、このゲームはかなり明確に「勝てないからレベル上げて強い装備を揃えよう」ということが求められるゲームです。

確かに、子供の頃にやったRPGって、基本的にはこの「作業プレイ」の思い出がとにかく多いはずなんですよね。昔のRPGってそういうゲームなので。
この「作業プレイ」の思い出に関わる部分だけは基本的にシステムに残されているんですよ。

言い換えれば、この「思い出」に関係ない部分はかなりダイナミックに削除しています。
例えばファストトラベル(一度行った街にワープできる仕組み)を採用していたり、セーブポイントがとにかく多い(ダンジョンの各回層に最低一個セーブポイントがある)のがまさに「思い出に関係無い部分」ですね。
基本的に当時の美化された思い出を妨げる要素を排除しているのが面白いところです。
当時のシステムをそのまま踏襲し、洗練していくタイプのRPGドラゴンクエストポケットモンスター)とはちょっとアプローチを変えているところが私には魅力的に映りました。

戦闘システムはブレイブリーデフォルトからの発展型

戦闘システムはブレイブリーデフォルトに似た「連続コマンド入力を可能にしたコマンド式戦闘」ですね。
ブレイブリーデフォルトはコマンドを「前借り」あるいは「溜める」ことができるシステムで、「同じコマンドを最大4連続で使える」ことがウリでした。
オクトパストラベラーは、「前借り」ができないようになっただけで、「同じコマンドを連続で使える」部分に大きな違いは無いですね。

弱点を一定回数突くと相手を「ブレイク」できるシステムも面白いのですが、それ以上に弱点はあるけど耐性が(おそらく)無い設計なのはとてもおもしろかったです。
こういうところもストレスをかけないようにしてるんでしょうね。
同じコマンドを使えるシステムとこの弱点攻撃のシステムの組み合わせのせいで、このシステムを体感させるためにはザコ敵すら驚くほど硬いのはちょっとだけ面倒でしたけど、私のような、懐かしのRPGの思い出に浸っている人からすれば特に違和感なく楽しめたと思います。

悪かったところ:主人公が八人でいる意味がわからない

悪かったところは実質一つで、とにかく主人公の多さが戦闘以外の部分に何一つ意味を与えていないところです。

不必要な自由度のために犠牲になったクロスオーバーのない群像劇

このゲームは8人の主人公から、1~8人を選んでプレイするゲームです。
各主人公ごとに一章~四章までの四章構成でストーリーが進むのですが、各主人公ごとに一章~四章の順番でプレイする以外は、順番は問われません。
それどころか、最初に選んだ主人公の一人旅で一章~四章までクリアしてしまう(エンディングを迎える)ことも可能です。

この自由なシステムがどういう問題を生むかというと、各主人公のストーリーの中で他の主人公が絡むことがシステムの成約としてできないんですね。
多分一般的なRPGだったら、ある程度自由度を重視しても、八人全員の一章が終わるまで2章がアンロックされないようにするなどして、特に第2章以降は主人公パーティーの掛け合いを入れるような形で実装してたと思うんですけど。
今作では一人旅もできるという良くわからない自由度のためにキャラクター同士の掛け合いがほぼ全てカットされる*2結果になっています。
一番残念なのはそれなりに個性豊かなサブキャラクターや敵キャラでとのイベントであっても、その章の主人公一人と相手との会話があるだけというところで、「多分この場にいるであろうあの主人公は絶対もっとキレてるやろ」とか「この場にあの主人公おったらこんな展開にならんやろ」みたいについついツッコミを入れてしまうような感じが何より残念でした。

主人公一人で完結してしまうストーリーなので、ストーリー展開としてもプレイ時間に比べるとどうも盛り上がりに欠けるのは否めません。
基本的に、各主人公の物語は「色々あった主人公が旅を通じてちょっと成長する物語」のオムニバスといえます。
なので主人公たちの旅は別に世界を救うこが目的ではなく、自分を救うことが目的なんですね。
にもかかわらず、各主人公は8人集まっいながら互いに何ら影響を与え合わないまま勝手に成長して自己完結して旅を終えるという、奇妙なシナリオ構成になってしまっています。
個別の話の作りは結構気に入っていたのですが、いかんせんこのシナリオ構成の違和感が最後まで邪魔してのめりこめませんでした。

良くわからない「正道」と「邪道」システム

主人公の8人には4種類の街の住人に対して行えるフィールドコマンドが割当されています。
8人いて4種類、1種類のコマンドに対して2人の主人公が割当されており、これが「正道」と「邪道」になります。

例えば街の住人から情報(宿屋の割引情報とか、武器屋の新商品とか)を聞き出すスキルについては、正道は「聞き出す」、邪道が「探る」というコマンドになります。
正道のコマンドは自分のレベルががコマンドの重要性に応じたレベルに達していなければ、そもそも使用することができません。
邪道のコマンドは自分のレベルとコマンドの重要性に応じて成功率が設定されていて、失敗すると街の人の評判が下がり、その街で邪道のコマンドの成功率が更に下がります。
例えば「聞き出す」と「探る」の例では、「聞き出す」では一定のレベルに達しなければその街の宿屋の割引情報は入手できない代わりに確実に情報を入手できますが、「探る」ではレベルが足りなくても一定確率で情報を入手できます。

この「正道」と「邪道」の違いがゲーム的にあまり大きな意味をなさないんですよね。
「邪道」で失敗したとしてもその街での評判が下がるだけですし、成功した時になんにも悪いことが起きないので、基本的にどちらか一方だけを使えば事足りるようになっています。
特に「買い取る(正道)」「盗む(邪道)」が顕著で、お金を使って相手の持ち物を「買い取る」より、「盗む」の成功率が高かったら普通盗みますよね。
結果的に、どちらか一方のフィールドコマンドばかり使うようになるので、街につくたびにパーティーをフィールドコマンド使う用のパーティーに入れ替えて全ての住人に話しかける、という作業になるだけになります。

これはストーリー的にもあまり意味が無い事が多かったので、別に全ての主人公に正道4つのフィールドコマンド使わせてよかったのでは、と思います。

結論:懐かしさ全振りなので人は選ぶが好きな人は絶対好きだと思います

ということで結論としては、「懐かしさを感じさせることに全振りしている」ところに共感したら買いだと思います。
ストーリーの薄味さも、基本的には懐かしさを感じさせるための障害になる今風のストーリーの盛り上がりは要らないよねって意味であればまぁ共感はしますし。
また、わかりやすく裏ボスが登場するのも(まだ倒してないですが)懐かしくて良いですね。

ちなみに続編が一人用スマホ向けRPGとして出るらしいのでちょっと気になりつつも、スマホRPGでは色々と痛い目に見ているので評判見るまで様子見です。そもそも出るか怪しいですし。

*1:例えば同じスクウェア・エニックスの作品であれば「FINAL FANTASY BRAVE EXVIUS(2015年)」はドット絵ですし、この作品のやや後に配信開始された「ロマンシング サガ リ・ユニバース(2018年)」もドット絵ですね

*2:パーティーチャット機能によって、ストーリーの途中で仲間と会話するシーンがあるけれど、それもそこまで豊富ではない